
最近、高齢者施設での虐待や事故といったニュースがよく報じられますね。
高齢者施設といっても、費用やサービスなど種類はさまざま。どう選べばいいのかわからない人がほとんどです。
自分の親のことはもちろん、自分自身の将来のためにも、高齢者施設の種類とその特徴を頭に入れておきましょう。
50万人以上が待っている「特別養護老人ホーム」
「特養」とも呼ばれる特別養護老人ホームは、社会福祉法人や地方自治体が運営する公的な施設。そのため、いちばんのメリットは低料金であること。月額5万~15万円程度で、初期費用はかかりません。
ただし入居希望者が多いため、入居待ちが50万人以上いるというのが現状です。入居まで早ければ数ヵ月、遅いと10年ほどかかることもあり、数年待ちがあたりまえになっています。
また、誰でも入れるわけではありません。要介護認定3以上の人が対象で、寝たきりや重度の認知症など緊急度の高い人が優先されます。
全国で不足している「ケアハウス」
特養と同じく公的な施設です。入居対象は、身寄りがないなど家族との同居が困難で、自立して生活するのに不安がある人です。食事や入浴、見守り、生活相談などの生活援助サービスが受けられます。
費用は、月額7万~17万円程度です。
気をつけたいのが、初期費用がかかること。保証金や入居一時金として、数十万~数百万円払う必要があります。保証金というのはいわゆる敷金にあたるものです。一方、入居一時金は施設を利用する権利を取得するためのお金で、入居年数によって償却されていきます。
比較的低料金で、高齢者の自立した生活を実現するとして人気ですが、定員は全国で9万人ほどしかなく、不足しているのが現状です。
ケアハウスは、要介護度によって一般型と介護型に分けられます。
●一般型
60歳以上、または夫婦のどちらかが60歳以上が対象。
●介護型
65歳以上で、要介護度1以上の人が対象。生活援助サービスのほか、介護サービスも受けられます。
費用は高め!施設で差がある「介護付き有料老人ホーム」
民間企業や社会福祉法人などが運営する施設です。食事や入浴、排せつなどの介助や介護をはじめ、リハビリ、レクリエーション、生活相談など幅広いサービスを受けられます。
公的な施設とちがって、年齢や要介護度による制限がないことが多く、施設によっては健康で自立できる人でも受け入れています。
ただし、費用は高め。月額8万~45万円程度で、初期費用は0円のところから、なんと数千万円も必要なところもあります。
施設によって、設備やサービス内容、料金の差が大きいので、あらかじめしっかり確認することが大切です。
要介護度の低い人が対象「住宅型有料老人ホーム」
民間の施設です。介護付き有料老人ホームよりも要介護度が軽い人や要支援の人、また自立した人が対象です。食事や入浴などの生活支援、生活相談、レクリエーションなどが受けられます。
覚えておきたいのは、施設のなかに介護スタッフが常駐していないこと。そのため、介護が必要になった場合、外部の介護サービスを受けなければならず、その分、料金が高くなります。
費用は月額7万~35万円と高め。外部の介護サービスを受ける場合、さらにプラスされます。初期費用は0~数千万円と施設によってかなりの差があります。
高齢者向けの賃貸住宅「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」
最近、注目されている高齢者向けの賃貸住宅です。バリアフリーなど高齢者に配慮した造りで、民間が運営し、都道府県が認可します。
自立して生活できる人、要支援、軽度の要介護度の人が対象です。見守りや生活相談が受けられるほか、食事や洗濯などの生活援助サービスもあります。
サービス付き高齢者向け住宅は、あくまでも賃貸住宅。それ以外のサービスは別料金になるところもあれば、介護サービスがパッケージされているところもあります。事前にしっかり確認することが大切です。
家賃と管理費で月額13万~30万円程度。敷金・礼金などは0~数百万円です。