介護のお金を考えよう!介護の負担を軽くするために知っておきたいこと

ほとんどの人が直面する親の介護問題。けれど、実際に経験するまでは他人事だと思っている人が多いようです。
介護にかかるお金は想像以上に高額ですが、負担が軽くなる制度もあります。
知らないと損をする介護のお金のこと、学んでみませんか。
いまさら聞けない「介護保険って何?」
介護保険とは、介護が必要な高齢者を社会全体で支えるための制度で、2000年にスタートしました。市区町村が運営し、都道府県と国がサポートするシステムです。
被保険者(加入する人)は、2種類に分けられます。
●第1号被保険者/65歳以上の人
原因を問わず、介護が必要な状態(要介護)、または日常生活の支援が必要な状態(要支援)になったらサービスを受けられます。
●第2号被保険者/40歳以上65歳未満の人
老化が原因とされる16種類の特定疾病によって介護や支援が必要な場合、サービスを受けられます。
特定疾病には、末期のがん、関節リウマチ、初老期の認知症(アルツハイマーなど)、骨折を伴う骨粗しょう症などがあります。
要介護認定は、「要支援1~要支援2」と「要介護1~要介護5」の7段階に分けられます。要介護度によって、受けられるサービスの支給限度額が決まっています。支給限度額以上のサービスを受ける場合には全額自己負担となります。
要介護度 | 1ヵ月の支給限度額 | 自己負担額(1割) |
---|---|---|
要支援1 | 49,700円 | 4,970円 |
要支援2 | 104,000円 | 10,400円 |
要介護1 | 165,800円 | 16,580円 |
要介護2 | 194,800円 | 19,480円 |
要介護3 | 267,500円 | 26,750円 |
要介護4 | 306,000円 | 30,600円 |
要介護5 | 358,300円 | 35,830円 |
※自己負担が2割の場合もあります。
介護用品の一部を負担してもらえるサービス
介護用品には高額のものがあり、買い揃えるとかなりの出費です。ですが、要介護認定を受けていれば一部を負担してもらえます。
例えば、車椅子や介護用ベッド、歩行器などは1割負担でレンタルできます。また、ポータブルトイレや入浴用の椅子などの購入は10万円までが1割負担で済みます。手すりをつけたり、段差をなくしたりする家のリフォームは20万円までが1割負担で可能です。
要介護認定は、申請をしてから結果が出るまで1ヵ月ほどかかるといわれていますが、結果を待たなくても申請した時点でサービスを受けることができます。
申請は、介護を必要としている人が住んでいる市区町村の窓口で行います。本人や家族でもいいですし、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所にお願いすることもできます。
「介護休業給付金」で介護と仕事の両立を!
女性が直面する問題に、介護と仕事の両立があります。親の介護をするために仕事を辞める人は少なくありません。
辞めて後悔する前に知っておきたいのが「介護休業給付金」。
介護のために仕事を休む場合、雇用保険に加入したうえで一定の条件を満たしていれば、最長93日分、介護休業給付金が支給されるのです。
これは、正社員はもちろんパートにも適用されるので、ぜひ頭に入れておいてください。
認められる家族は、配偶者、父母、子供、配偶者の父母で、同居する祖父母、兄弟姉妹、孫も対象となります。
申請はハローワークで行いますが、まずは勤務先に申し出ましょう。
お金がピンチのときは「リバースモーゲージ」が役立つ
有料老人ホームに入所する場合、費用が高額になり、年金だけではまかなえないことがあります。その費用を誰が出すかで家族でもめるケースも少なくありません。
そんなことにならないためにも、いざというときにどうするか、前もって家族で話し合いをしておくことが大切。話し合った内容はメモに残すなど記録を取っておきましょう。
介護費用を捻出するための方法のひとつに「リバースモーゲージ」があります。これは親の持ち家を担保に銀行などから融資を受け、借りたお金は親が亡くなったあとに家を売って返済するシステムで、いま注目されています。
8月になって負担額が増えた人が続出!
これまで介護サービスの自己負担は1割でしたが、8月から一定以上の収入がある人は2割の自己負担になりました。
65歳以上で、収入が年金のみで280万円以上の人が対象で、5人に1人が該当するといわれています。
8月に入り、「いきなり費用が2倍になった!」と悲鳴を上げる高齢者が続出しています。
自分の親が1割負担なのか2割負担なのか、確かめておきましょう。