
賃貸は、購入に比べると気軽に引越しができて、費用も抑えられるのが魅力。転勤の多い方にも住みやすく、自己管理をせずに好きな物件を選べるのも魅力です。長く住むのであれば購入も良いですが、後悔した時にも転居しやすいのが賃貸。
★賃貸引越しの体験談
東京都墨田区在住の片山やよいさん(仮名)(28)も、「間取りも使ってみたら使いにくいとか、近所の人が合わないとか、細かいことが住んでいると出てきたんですけど、賃貸だと次に引越ししやすいので、本当に良かったと思っています。」けれども、引越しの際、失敗もしたそう。
やよいさんは、1年前に夫と小学生の娘さんと一緒に、都内に引越ししてきたたばかり。「賃貸なら手続きも購入より楽だし、すぐに引っ越せるから購入するより良いですし、余裕をもって家賃を払えると思って選んだ3LDKのマンションでした。でも、家具が前の家とサイズが違っていたり、壊れた電化製品の買い替えも重なったりして、棚や洗濯機、照明やカーテンも全部買い直しが必要だったんです。細かい所を考えてなかった自分達の甘さに気が付きました。今は引越しし直せないし、想像以上にお金を使ってしまって不安になりました。」
部屋を借りるためには、家賃以外のお金も当然必要です。予算内の家賃であっても、最初はその2~3倍以上はかかるのが実際。思った以上にかかって貯金がすっからかん。なんてことになりがち。やよいさん夫婦は一体、何の経費を見落としてしまったのでしょうか。マンションやアパートなどの部屋を借りるには、下記のようなお金が必要なんです。
◆入居に必要な費用(入居一ヶ月目に必要な費用)
★最初の月の家賃(管理費)
部屋の利用料。別途、建物のメンテナンスなどのための管理費がかかり、それも家賃と一緒に毎月支払います。駐車場や駐輪場を利用したい場合は、さらにプラス。
★敷金
部屋の保証金。退去時の部屋の状態で修繕が必要な際は、敷金から抜かれ、余った分は返却されます。基本的にはプラスマイナス0程度の範囲で収まりますが、直す部分が多いと余分に出さなくてはいけなくなるので注意!敷金ゼロの物件も最近は多いですが、ドア鍵交換の費用や退去時に業者のクリーニング・修繕工事の費用を全額実費で支払うことがほとんどです。退去時に経費を実費で払いたい方はこちらを選ぶ、という考え方もアリ!
★礼金
昔は家主へ世話になるお礼の意でしたが、今は家主への手数料といえます。礼金を家主からの不動産屋への手数料や広告などの経費に回している所も多いようです。築年数が経ている物件だと礼金ゼロにしている場合も。また、地域によっては契約時だけでなく更新時にも支払う所や、礼金自体がない所もあるようです。首都圏は残念ながらあるのが一般的です。
★家財保険(or 借家人賠償責任保険)
契約時に不動産屋に薦められることが多い家財保険。火災などで家具が燃えてしまった時などに、買い直す資金を補償してくれます。自分の家具の金額以上にはもらえないので、補償額と掛け金は照らし合わせて考える必要が!ただし、地震はカバーしていません。借家人賠償責任保険は、火災を起こしてしまったり、壁を誤って破損させてしまったりした時の家主への賠償金額を補償します。
賃貸の契約条件として必要な所も多いようです。代理店手数料が入っているとはいえ、自分で入るよりも安い場合もありますが、契約条件でなければ、契約前に他の保険会社と見比べておくと節約できる選択ができます。
★不動産屋への仲介手数料
礼金とは別に、不動産屋に対して仲介手数料がかかります。大体家賃の1ヶ月分ですが、礼金の金額によって高めに設定している場合もあるようです。今後、契約更新する際も必要になってきます。
東京都内23区の入居費用だったら…
東京都内23区の1LDK・2DK家賃相場大体20万円で、計算してみると次のようになります。
(例)
家賃=200,000円
敷金(2ヶ月)=400,000円
礼金(2ヶ月)=400,000円
家財保険=15,000円
仲介手数料=200,000円
合計金額=1215,000円
いかがでしょう?!想像以上の経費ではありませんでしたか?この他にも引越し費用や家具など生活費用がかかってきます。やよいさんは、「今思えば、少しでも交渉して安くしてもらったり、300円均一で間に合わせたりもすれば良かった。区などの地域で住民税や光熱費の基本料が違うのも分かってませんでした。」と言います。
気に入った物件は契約前に、家賃や礼金・手数料などは1,000円でも安くしてもらえないか交渉してみるのも一つの方法です。借りたい部屋の物件だけでなく引越し後の生活のことも考えて選ぶ必要があるんですね。とはいえ、東京での暮らしで、引越貧乏にならないためには、200万円は貯金しておけたら安心な様子。
◆引越し費用
意外とかかるのが引越し費用!業者に頼む場合の一般的な金額は、単身者で平均2~5万円位、ファミリーの場合は4~10万円位が目安となります。規定数以上の段ボールは有料であったり、土日だと料金が高かったり、移動距離でも金額は変化します。なるべく平日にして、段ボールが足りない時は、近くのスーパーなどからもらうと節約に!安い価格の所は、高速道路の代金が別だったり、荷造り用の段ボールがついていない場合があったりするので、サービス内容に注意を!
他にも業者によって、荷物の大きさや数、作業員の人数、引越し距離、シーズン等によって安くなる場合があるので、チェックしてみましょう!荷物の個数が少ない場合は、宅配便を使うのもアリ!ただし、個数×代金になるので注意!
また、レンタカーをレンタルや友達に頼む場合、Kトラックなどの大きな車を借りた場合平均1~3万円がレンタル料の目安。でも大型を借りるのは面倒。荷物の大きさや量によっては何往復も必要になったり、大型家電は車に乗せられず、結局業者に頼むなんてことも。また、知り合いに頼むと傷や破損が出た時の補償も出ません。運んでくれた方へのお礼も考えると、業者の方が安くてお得な場合も。
◆入居後にかかる費用
一番、最初に用意したいのはなんといってもカーテン!!カーテンなしだと、生活が丸見えになってしまいます。サイズは、できれば入居前に測っておいて用意しておきましょう!既製品ならお手頃のものもありますが、ワンルームでもカーテンは3~5万円はかかるので注意!また、部屋によっては、照明器具や冷暖房が付いていない場合も!家賃だけでなく、初期費用を考えながら物件は見ておきましょう。
その他、冷蔵庫・洗濯機・電子レンジ・テレビ等の家電や、ベッド・布団・テーブル等の家具、トイレ用品・バスグッズ・キッチン雑貨等、この全てでなくても生活に必要なものを揃えていくと、ファミリーの場合、平均で26万円はかかります。いきなり全部揃えるのではなく、少しずつ必要なものから、今の家から運んで使えるもの、代用できるものは代用できないか工夫してみるとよさそうです!
さらに、新しい部屋での生活には、食費や光熱費、パソコンなどの通信費、突然の出費も考えられるのでプラスαの貯蓄をしっかりと計画的に生活していく必要があります。
新調・転居前に確認を!
やよいさんは、最後にこんなことを話してくれました。「今持っている家具や電化製品を、引っ越しても使えるのか確認しながら物件をみておいた方が良いと思います。全てお金になっていくので、心機一転したくていいなと思う憧れの家具も、ちょっと我慢して中古で選んだりする工夫は必要ですよね。」
ファミリーの引越しは、人数が多い分家具の大きさや荷物の量も変わってきます。引越しを考えている方は、使える物、使えなくなりそうな物も整理して、費用に考えておきながら、新生活を楽しく、穏やかに暮らせるようにして下さいね!